1306 自衛隊ドラマと憲法改正

機関紙協会京滋、組織と宣伝7月号 隅井孝雄

自衛隊広報に加担するテレビ、メディアにも「憲法擁護」の責務が。

 

連続ドラマ「空飛ぶ広報室」(TBS)高視聴率だが…・・

新垣結衣と綾野剛のコンビで結構若者受けしたドラマだったTBSの連続ドラマ「空飛ぶ広報室」(4-610回放送)は航空自衛隊の活躍ぶりを売り込むことを隠そうともしない番組だった。民放の女性テレビディレクターが航空自衛隊の人間像に魅力を感じ、広報室とタイアップして紹介番組を作り、イメージアップをはかるというストーリーだ。視聴率は平均12%、最高14%。若い視聴者層に受けたのだという。

この番組が東芝日曜劇場という枠だったことが私の興味を引いた。東芝日曜劇場はTBS発足以来の歴史と伝統を持つ一話読み切りの大作ドラマの枠として「マンモスタワー」、「愛と死を見つめて」など数多くの名作を生んだ。(1993年以降は連ドラ枠になっているが・・)この枠で1962年制作された家城己代治作の芸術祭ドラマ「ひとりっ子」が放送直前に中止になって大問題となった。主人公は高校生の青春ドラマ。大学受験で防衛大学に合格するが、自衛隊の存在に疑問を感じ入学を辞退するというストーリーだ。右翼が聞きつけて、政治家の大物が動きスポンサーの東芝に働きかけて中止となったのだ。

自衛隊広報目白押し、「国防軍」への地ならしか?

「空飛ぶ広報室」の番組のストーリー展開に合わせるように3月から4月にかけて「ブルーインパルス松島基地」の活躍ぶりをNHKニュース7、日本テレビ「報道バンキシャ!」が特集、他にも自衛隊企画の報道番組、ワイドショー企画が頻繁にテレビで放送された。自衛隊の広報作戦がきわめて巧妙だともいえるが、それに無批判にのるテレビ局は報道機関としての節度を超える、と私は思う。

3.11以降、「災害活動で国民に認知された」と自賛する自衛隊の売り込みにプラスして自民党は自衛隊を「国防軍にする」、「海外派兵する」という新憲法草案を参議院議員選挙の旗頭にしている。ドラマとはいえ安易には乗れない政治的意図が背後に見え隠れする。

一方、安倍自民党や国防族の誤算も目につくようになった。614日旗揚げした「憲法69条の会」は会場に入りきらないほどの人が詰めかけた。憲法改正手続きのハードルを3分の2から半分に落とす案に対しては「やり方がフェアーではない」と改憲派の学者や自民党の大物政治家の一部も反対、大きな国民運動になろうとしている。安倍首相自体が「国民投票で否決されるかもしれない」と議会答弁で述べる事態となった。

 

世論は憲法擁護、報道機関も同じ責務がある。

メディア各社の世論調査にもそれがくっきり表れている。96条を改正するという案に対して、反対54、賛成39(朝日新聞)など、世論が立ちはだかっているのだ。そればかりではない616日の京都新聞によると、戦争放棄、戦力不支持の9条を守る55%、集団的自衛権(=海外派兵)の行使に反対53%という世論調査の結果が出たという.自衛隊を国防軍の衣替えしよう、海外派兵を合法化しようという安倍構想は思惑通りには進んでいない。

憲法98条には「天皇、大臣。国会議員裁判官、公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」とある。メディアもまた公共的責務を持つ以上「憲法を擁護

義務があるのではないのか。