京都96条の会とは?

 

呼びかけ文

 

20124月、当時野党であった自由民主党は、かねてより主張してきた憲法改正を自民党日本国憲法改正草案(以下、改憲草案と表記)として公表しました。その草案は、現行憲法における戦争加害・植民地主義への深い反省と平和主義、そして国際主義を唱える前文を完全に書き換え、「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する」と新しい前文を結んでいます。

また、改憲草案では、第一条で天皇を日本国の元首とし、現行九十九条に書かれた、「天皇又は摂政」らの憲法尊重義務を逆転させ、新たに百二条で「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」とし、国民主権という基本的な原理をも侵害しようとしています。そして、第九条においても第二項の削除により「集団的自衛権」の行使を認める規定へと変更され、さらには、基本的人権の尊重に大きくかかわる、第十一条、第十三条が改定され、基本的人権を保障する憲法が国家の最高法規であることを宣言する九七条が削除されました。すなわち、自民党が新しく制定しようとする「憲法」は、基本的人権の尊重・国民主権・平和主義といった現行憲法の三大原理すべてを否定する「憲法」なのです。

わたしたちは、基本的人権・個人の尊厳を最大限尊重するために、憲法によって国家権力の暴走を縛る、という立憲主義本来の原理に自民党の改憲草案が明らかに反していることに恐怖を覚えました。立憲主義という、人類が悲劇的な歴史を経てようやく手にした叡智をないがしろにする、こうした自民党の政治的態度がもっとも顕著に現れているのは、201212月衆議院選挙の大勝を受けて安倍晋三当時自民党総裁が、憲法改正手続きを規定した九六条の改正に言及したことです。このことは、わたしたち一人ひとりの大切な人権を保障するのが憲法であり、その憲法に反する法律を国は制定できないという、立憲主義への大きな挑戦に他なりません。

自民党一党独裁とも呼ばれるような政治状況のなかで、一人でも多くの方と、現行憲法の大切さを共有し、次回選挙において、立憲主義、現行憲法の三大原理をしっかりと理解し、憲法尊重を国民に約束する政治を実現したいと考えます。

 

憲法は、日本国に住む個人と、強大な権力や暴力装置を備えた国家の関係を決める大切な基本原理です。ところが、その憲法の下に制定される民法や刑法ほどには、わたしたちの身近な生活とは一見すると関係がないかのように考えられがちです。ですが、わたしたちの健康にとって安全な空気や水が不可欠なように、憲法は、わたしたちが安心して社会で生きるために、そしてしっかりと基本的人権が尊重されるために不可欠な存在です。

そこでわたしたちは、京都を拠点に、立憲主義、そして憲法とはどのような存在なのかを広く市民の皆さんと一緒に学び、自由に論じあえる会を結成いたします。

 

京都は、日本の古都であると同時に、多くの自然と産業にもめぐまれ、たくさんの大学があり、各地・各国の人びとが集う都市であり、京都人として多くの外国人が暮らす町です。

わたしたちは、日本国憲法は〈わたしたち〉日本国民だけのものではなく、日本国憲法をうんだ国際社会の人びとと共有し、ともに育んでいくものだと考えています。日本国憲法を一緒に考えるなかで、京都人の知恵や国際的な意識が反映された〈わたしたち〉の憲法への想いを一緒に語り合ってみませんか?